前立腺がんは、初期の段階では自覚症状はほとんどありません。PSA検査を受けて、症状が出る前に前立腺がんを早期発見することが肝要です。
前立腺は、男性だけが持っている生殖器官の一部です。大きさ・形はちょうど栗の実くらいで膀胱のほぼ真下にあり、尿道を取り囲んでいます。
前立腺がんの多くは、前立腺の被膜に近い「辺縁ゾーン」、すなわち尿道や膀胱から離れた場所に発生します。そのため、がんが進行してある程度腫瘍が大きくならないと、尿道や膀胱を圧迫しないので、前立腺がんの初期の段階では自覚症状はほとんどありません。
前立腺肥大症の場合は、中心ゾーン、移行ゾーンから発生するため、尿道を圧迫しやすいのではしばしばおこる排尿障害が起きます。しかし前立腺がんの場合は、かなり進行しないと排尿障害はほとんど起きません。また、がんが骨に転移して痛みを生じることもありますが、この場合も、がんがかなり進んだ状態と言えます。
ですから、前立腺がんの治療を効果的に行うためには症状が出る前にがんを発見することが非常に大切で、そのためには検診などで定期的にPSA検査を受けることがもっとも近道と言えます。
●前立腺がんの手術
前立腺全摘除術は、がんを含めた前立腺、精嚢、リンパ節を取ってしまう方法です。これにより完全に治る可能性が高いとされています。
精巣除去術は、精巣(睾丸)を取ることにより、男性ホルモンをなくそうとするものです。同じ効果を示す薬剤が他にあることや、患者さんの抵抗感などもあり、最近ではあまり行われません。
●前立腺がんの放射線療法
放射線でがん細胞を殺す方法です。今日、手術と同程度の治療成績が得られるといわれています。放射線をあてる方法には外部照射(体の外から前立腺をねらってあてる)・術中照射(おなかを開いている間に病巣にあてる)・組織内照射(がんに針を刺し、その先端からあてる)があります。
●前立腺がんの内分泌療法
前立腺がんは男性ホルモンがなければ生きられません。男性ホルモンの働きを抑える治療法が内分泌療法で、ほとんどの前立腺がんがこの治療によく反応します。
◆前立腺がんの治療を効果的に行うためには、症状が出る前にがんを発見することです。そのためには検診などで定期的にPSA検査を受けることが最も近道と言えます。
PSA検査は、血液検査だけで測定できるので、前立腺がんの集団検診でも用いられます。PSA(前立腺特異抗原)は体の中にもともと存在する成分で、健康な状態でも前立腺でつくられています。しかし、前立腺がんがあるとPSAの血液中の量が急激に増えてくるので、がんの早期発見にも役立ちます。
◆前立腺肥大症と前立腺がんとの違いは、発生する部位の違いです。前立腺肥大症は、良性腫瘍で、前立腺の内部から発生するため、肥大が進むと尿道や膀胱を圧迫しやすく、排尿障害がおきやすいのです。一方前立腺がんはもちろん悪性腫瘍で、前立腺の外側から多く発生し、骨やリンパ節などに転移します。二つはまったく別の病気であり、同時に発生することはあっても肥大症ががんに変化することはありません。
◆前立腺がんには前立腺肥大症を合併していることが少なくありません。前立腺肥大症も合併している患者さんであれば、早期がんでも自覚症状に排尿障害が出ることがあります。